新しい製品提案に最適な提案手法を考える

業界のとある大手企業に、まったく新しい製品を提案することになりました。まだ国内の導入例がありません。プロポーザル エキスパートとして、今回はこの提案チームに参加し、コンテンツコーディネートのプロとして提案書の企画設計から制作までをコーディネートしました。

顧客企業の担当者は「是非購入したい」、と言っていましたが、肝心の決裁権限は、社長。しかも一部上場企業の社長…。「社長になんとかこの製品の良さを直接伝えたい!」というのが提案チームの総意でした。しかし、実物を見に来てもらうには、とてもハードルが高い製品。

アイデアを現実に落とし込む作業

この提案プロジェクトは入札ではありませんが、営業チームを中心に、販売パートナー社、自社のエンジニア、そしてお客様社内のIT部門とタッグを組んで、社長にご覧いただけるように、できる限り正式なスタイルで、かならず決裁される提案書を制作しようと画策していました。しかし、最後まで残った課題は、写真などではとうてい伝わりそうにない製品の特長。良さ。いったいどうやって伝えよう…

チームで知恵と、時には奇想天外なアイデアを出し合い、それを現実的にできるギリギリの線に落とし込みました。そして1か月余が過ぎ、いよいよ社長に提案するときがきました…。

結果は…即決。

プレゼンの結果、社長からは「検討せよ」との言葉。正確には、「もう検討はしているのか? すぐにしなさい」と伝え聞きました。

その後、その企業は、海外への事業展開と購入した製品の相乗効果で、ますます事業を拡大しました。そのときの製品の導入も手伝って、業務はスムーズになり、さらに関連製品を次々購入する、業績がさらに上がるというスパイラル。何年も経た今も続いているようです。

「あの提案ビデオをつくってくれたおかげだよ」

しばらく経ってから、担当者の一人から聞いた言葉です。そうです、紙の文書ではなく、ビデオで「提案書」を制作したのです。この案件の獲得で何度か表彰もされました。しかしあれは、詳しくは控えますが、チーム一丸となって知恵を出し合い、進んで活動した結果だったのです。

まさにあの一度限りの提案が、その後の顧客企業と会社の関係、ひいては業界の動向へも影響する、大きな分岐点となったのでした。